第94章 タイムカプセルの中身にも格差がある。
その後もタイムカプセルの中身チェックは続くが、どうやら葵咲の探しているモノは見つからない様子。葵咲は小首を傾げながら当時の記憶を辿るように空を仰ぐ。そうして思い出したようにポンと手を叩き、土の中に目を向けた。すると今開けていた木箱とは別に もう一つ、ビニール袋に包まれた幅広の箱が埋められているのを見付ける。
葵咲は箱を空けて中身を取り出す。
そんな葵咲の手元を他の三人も覗き込んだ。
長谷川「ん?色紙?寄せ書きか何かか?」
葵咲の手に持つソレは色紙専用の包み紙。中身の色紙は未確認だが、包み紙は間違いなく色紙専用のもの。それ故、長谷川はそれが色紙だと気付いたのだ。
葵咲は長谷川からの問い掛けに答えながらガサゴソと包み紙を開封する。
葵咲「いえ。これは当時、皆の身体の大きさを表す物を残しとこうって話になって作った・・・・」
長谷川「ああ、手に墨塗って象る手形?」
これも定番といえば定番。よくあるやつだ。子どもの頃の手形を残し、大きくなってから合わせてみて成長を見るというもの。小さな手形を見れば懐かしい気持ちも更に膨らむ事だろう。だがここで出てきたのは・・・・
長谷川「…って血判状ォォォ!?何か思ってたのと違うんだけど!」
葵咲「寺子屋の皆で残そうと思ったら手じゃ色紙に入りきらないので指にしたんです。」
長谷川「だからってなんで血で残してんの!?もはや呪いだろコレェェェェェ!!おどろおどろしいよ!!」
そう。手ではなく指でかたどられている上に、色が黒墨ではなく朱色だったのだ。しかも寺子屋の子ども達全員分なのか、かなりの人数の指形が押されている。もはや呪いだ。
だがこれに対して葵咲は笑顔のまま首を横に振る。