第94章 タイムカプセルの中身にも格差がある。
葵咲「あ、これ血じゃないですよ。朱い絵の具です。」
長谷川「いや、紛らわしいよ!なんでわざわざ朱色にしてんの!」
葵咲「これとは別に手形バージョンも作ったんですけど、そっちが墨なので。同じじゃ面白くないし、色を変えてみようかなって。」
長谷川「いや、別に色変える必要ねーだろ!」
どうやら朱色に至ったちゃんとした理由はあるようだ。そんなやり取りを経て、葵咲はもう一つの色紙を取り出す。こちらは四つの手形が黒墨でかたどられていた。
長谷川「ん?四つ?」
その数に疑問を抱いた長谷川は、その質問が思わず口をつく。葵咲は長谷川に目を向けて答えた。
葵咲「はい。これは仲の良かった四人で作ったんです。」
長谷川「あと一人は?今日は来れなかったのか?」
葵咲、銀時、桂…ここにいる三人がそうなのだろうが、あと一人分は?高杉(あと一人)について知らない長谷川は悪気なく尋ねる。葵咲は少し表情を落としながらも、それを悟られまいと笑顔を作って言葉を返した。
葵咲「あ、ええ…。忙しい…みたいで。」
長谷川「まぁ社会人になりゃ仕事の都合付けんのも難しいわな。」
銀時「・・・・・。」
葵咲の無理が見て取れた銀時は、静かにその横顔を見守る。少し心配そうな顔を浮かべるも、ここでそれを口にするわけにもいかず、タイムカプセル確認はここで幕を閉じた。