第94章 タイムカプセルの中身にも格差がある。
緊迫した空気が流れる松下村塾跡地。見守る土方達を含め、誰も動こうとしない。
だが少しの時を経て、何かに気付いた長谷川が沈黙を破るように声を上げた。
長谷川「ん?これ人間の頭蓋骨にしては やけに小さくね?」
葵咲「え?」
その発言を聞いて埋められた骨に目を向ける葵咲達。言われてみれば至極小さい頭蓋骨だ。仮に子どもだと仮定しても小さすぎる。長谷川は骨の場所へと歩み寄り、腰を下ろして頭蓋骨らしき骨を取り上げた。
長谷川「これ、猫か何かの骨なんじゃねぇの?」
その言葉を聞いた葵咲、銀時、桂の三人から冷や汗が消える。ホッと胸を撫でおろしながら葵咲が口を開いた。
葵咲「あー、あのカルシウム、猫になっちゃったか~。個人的には鳥狙いだったんだけどな~。」
長谷川「なんでたまごっちみたいな感じになってんの!?カルシウムは育て方によって形態が変わるとかないからね!?」
先程の自分達の態度を誤魔化すかのような発言だが、長谷川は騙されない。すかさずツッコんだ。一方葵咲の方も簡単には引き下がらず、右手人差し指を立てて真剣な眼差しを長谷川へと向けた。
葵咲「知らないんですか?カルシウムを土に埋めると土の成分によってその形態を変える。そんな都市伝説があったような、なかったような。」
長谷川「ねーよ!そんな都市伝説!!」
四人の一連のやり取りを覗き見ていた土方達もホッと胸を撫でおろす。どうやら殺人現場ではなかったようだ。ひとまず六人は塀の陰からの様子見を続行する事に。
そして桜の木の元に集まる四人は、再び猫の死骸を埋葬し、タイムカプセル探しへと戻る。
葵咲「でも長谷川さんがいてくれて心強いです。物への執着も強そうだし、早く見つかりそう。」
長谷川「それ褒めてないよね!?確かに路上生活歴あるから物への執着は人一倍あるけど!」
葵咲は良かれと思って口に出した言葉だったようだが、長谷川には良い意味には聞こえなかった。