第93章 世間は狭い。
そんな懐かしい情景を思い出し、クスクスと笑う葵咲。幼き頃の自分を思い出した銀時は顔を真っ赤にして叫ぶ。これ以上からかっては悪いと思い、葵咲は笑いを止めて話を切り替えた。
葵咲「根っこのところとか掘り返してみる?埋蔵金とか出てくるかも…」
唐突に思い付いた言葉だが、ここで自分の発言の何かに気付き、言葉を止めて大声を上げた。
葵咲「あぁぁぁぁっ!!」
突然の大声にビクリとする銀時と桂。驚いた表情で葵咲を見つめていると、葵咲が手を叩いて言葉を紡いだ。
葵咲「思い出した!この樹の下!!」
銀時「なんだよ。ホントに埋蔵金でも出てくんの?」
少し期待に胸を躍らせる銀時。だが葵咲は首を横に振って言葉を返す。
葵咲「違うよ!タイムカプセル!埋めたの覚えてない??」
桂「あぁ。」
銀時「そういや、そんなの埋めたっけ?」
言われて二人も当時の事を思い出した。二人の反応を見て葵咲は桜の木の元へと腰を下ろす。
葵咲「このへんだったよね?ね、掘り返してみようよ!」
幸い、墓参りグッズとしてスコップもある。折角この地へと再び訪れたのだ。大人になった今がちょうど掘り返し時だろう。ノリノリな葵咲に対し、銀時はあまり乗り気ではない様子。面倒そうな顔を浮かべながら頭を掻いた。
銀時「俺、何埋めたか覚えてねーよ。変なモン出て来ても反応困るし、そのまま埋めといた方がいんじゃね?」
葵咲「それじゃタイムカプセルの意味ないじゃん。」
頬を膨らませてムッとする葵咲。それは銀時が、ただただ面倒臭そうにしていたから。葵咲は銀時の背をバシッと叩いて活を入れる。そうして三人は土を掘り返してみる事にした。スコップを片手にザクザクと掘り進めていく三人。ここでガッと何かを掘り当てた。
葵咲「あ!出てき…」
土を掻き分け、出てきた物に目を向けると、そこには白いナニカが・・・・。
「・・・・・。」