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銀魂 - 雪月花 -

第10章 いくつになっても怖いものは怖い。


疑問に思った葵咲は振り返って裾を見やると、そこには葵咲の着物の裾をしっかり握っている土方の手があった。


葵咲「…あの…土方さん?」

土方「あん?なんだ?」

葵咲「裾、握ってる。帰れないんだけど。」

土方「えっ。」


どうやら土方は無意識のうちに葵咲を引き止めていたようだ。葵咲は土方の様子を見て少し考え、先程自分の部屋に集まった際に、土方が幽霊を恐れていた事を思い出した。


葵咲「・・・あっ、もしかしてさっきの話…。」


そこまで言いかけたところで、土方が猛烈な勢いで割って入った。


土方「誰もビビってなんかねーよ!!誰が幽霊が怖いっつったァァァァァ!!」

葵咲「誰もそこまで言ってません。」


鬼の副長と呼ばれ、いつもは威厳があって隊士達の見本となっている土方。その土方が幽霊一つにこのビビりよう。そのギャップを目の当たりにした葵咲は思わず吹き出してしまった。


葵咲「クスッ。土方さんが眠れるまで私、ここにいてあげよっか?」

土方「ばっ!バカ言ってんじゃねーよ!てめぇ人をバカにすんのもいい加減にしろよ!?」


強がる土方は、葵咲の提案をすっぱりと断る。


葵咲「じゃあ部屋に帰ろーっと。」


そう言って葵咲はあっさりと引き下がってしまった。そこまであっさり引き下がると思ってなかった土方は慌てて食い下がった。


土方「ままま、待て!ま、まぁお前がどうしてもここに居てぇっつーんなら居させてやってもいいけど?」


あくまで自分から居て欲しいとは言えない土方。最近、そんな土方のツンデレ性格を分かってきていた葵咲は、土方の強がりに気付きながらも何もツッコまず、微笑みながら答えた。


葵咲「じゃあ…そうさせてもらおーかな。」


全てお見通し、といった表情の葵咲に対して、バツの悪そうな顔をする土方。そして口ごもりながら言った。


土方「・・・・他の奴らには絶対言うなよ。」

葵咲「大丈夫だよ。だって秘書は秘密を守るお仕事でしょ?」


葵咲の笑顔に安心して、土方は布団の中へと入り、目を瞑った。
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