第93章 世間は狭い。
代金の事はひとまず置いておき、車は墓地へと向かう。車内は葵咲と長谷川が談笑する声で満ちていた。
長谷川「そうか、三人は幼馴染っつってたな。じゃあ郷帰りも兼ねての墓参り?」
葵咲「そうなんです。こっちの方に来るのはホント久しぶりで。」
長谷川「いいねぇ若いモン同士、青春だね~。」
昔を思い出すように目を細める長谷川。俺もそんな時代があったっけな、等と心の中で呟く。そんな感情を抱きながら長谷川はバックミラーで銀時達の様子を窺った。一体どんな顔をしているのだろうか。和んだような温かい眼差しを秘めているだろうか、それとも照れて顔を赤くしているだろうか。
チラリと見たバックミラーに写っていた二人の姿は・・・・
銀時「ふぁ~。」
桂「Z~。Z~。Z~。」
欠伸をする銀時に、目を開けたまま眠っている桂。とても青春という言葉に似つかわしくない。興を削がれた長谷川は真顔に戻ってボソリと呟いた。
長谷川「・・・・前言撤回。」