第91章 ホームセンターでの買い物は行き慣れた店が買いやすい。

それらの商品を見て連想されたのは殺人事件。指紋が付かないよう軍手をはめ、鉈か先程の縄で殺害し、死体をゴミ袋に詰めてスコップにて土を掘り返して死体遺棄。その現場が連想された。
ガクブル状態の近藤の背にすがりつきながら、山崎が言葉を掛ける。


山崎「局長！落ち着いて下さい！ま、まだ間に合います！埋める場所を悟られないように隠蔽を…。あ、いや、ひとまず先にサンプルＱを入手…」

土方「オメーも落ち着けェェェェェ！！」


二人とも動揺している。自分達がこの後どういった行動をすべきか判断に誤りが出てきている。ちなみにサンプルＱとは、話題になったドラマ、“天国と地獄”の証拠隠滅に使われた品である。
二人の誤った道筋を戻す為に土方はツッコんだ。そのツッコミを聞いてハッと現実に引き戻される近藤。土方の言葉に頷きながら再び山崎に言葉を返す。


近藤「そうだぞザキ！警察の威厳の前に俺達見つかったら口封じに殺されそうじゃん！ここは見なかった事にして逃げ…」

土方「そういう意味じゃねーよ！だからお前も落ち着け！！」


やはり冷静な判断が出来なくなっているようだ。土方はこの事態をどう対処すべきか頭を巡らせようとする。だがそんな土方をよそに、松本は至って冷静に葵咲達に目を向けていた。


松本「待ってください。ほら、あれを。」

「え？」


視線の先で葵咲が手にしていたのは・・・・


山崎「線香に…仏花？」

松本「単にお墓参りに出掛けるだけなのではないでしょうか。」


先程入手したゴミ袋、軍手、スコップ、鉈は墓掃除に。蝋燭、線香、仏花は掃除の後のお参りに。そんなところだろう。縄の使い道は明確ではないが、恐らくそれも掃除に使われると推測された。ゴミが多ければ木の枝等を縛るのに必要かもしれない。その後も三人は雑巾やバケツ、たわし等を購入していた。松本の言うとおり、墓参りが妥当な見解だ。そしてそれを踏まえた上で山崎が何かに気付いたようにポンと手を叩く。


山崎「あぁ、それで黒い着物…。喪服か。」


そうして葵咲達は買い物を済ませてホームセンターを出た。