第91章 ホームセンターでの買い物は行き慣れた店が買いやすい。
葵咲の有給休暇取得一日目。
場所は家康像前。時刻は朝九時を回ったところ。葵咲は家康像の前に立ち、誰かを待っている様子だ。
そしてそんな葵咲の様子を木の茂みから覗き、見守るのは・・・・
山崎「・・・・・。」
土方「・・・・・。」
山崎「ってなんでだァァァァァ!!部下の休暇を尾行とかプライバシーの侵害にも程があるでしょ!」
華月楼でもお馴染み尾行ペア、土方と山崎だ。二人は張り込みを葵咲に悟られないよう私服に身を包んでいる。この日山崎は、土方からホシに怪しい動きがあるとだけ告げられて連れ出された。攘夷浪士の張り込みかと思いきや、まさかの葵咲の尾行。山崎は続けて盛大なツッコミを入れる。
山崎「やっぱりアンタ局長と化してるよ!!」
土方「俺をあんなストーカーバカと一緒にすんな。葵咲(あいつ)のあの態度、何かありそうだったからな。」
『攘夷派の連中』と聞いた途端、目を泳がせて慌てふためく葵咲を見て不信感を抱いた土方。だがそんな事など知る由もない山崎は、ただただ呆れた表情を浮かべてその場を立ち去ろうとする。
山崎「はいはい。分かりましたよ。浮気じゃない事を祈ってます。」
土方「ちょっと待てェェェェェ!!何かありそうってそういう意味じゃねーよ!!攘夷浪士と何かありそうって意味!つーか付き合ってねぇっつってんだろうがァァァァァ!!何回やらされんだ、このやり取りィィィィィ!!」
ガシッと山崎の肩を掴んで退却を引き留める土方。一応足を止めて振り返る山崎だが、その表情からは信頼の文字は見えない。
山崎「はいはい。」
ため息を吐きながら流そうとする山崎に苛立ち、土方はその胸倉を掴んで怒りを露わにした。
土方「あっ!てめっ!信じてねぇだろ!葵咲の奴ァホントに…」
「朝っぱらから何やってんだお前ら?」