第10章 いくつになっても怖いものは怖い。
葵咲の悲鳴を聞きつけた隊士達は、離れへと駆けつけた。
総悟「大丈夫ですかぃ!?葵咲姉ぇ!!」
近藤「どうした!?何があった!?」
葵咲「い、今そこに人影が…!!」
そう言いながら窓の方を指差す葵咲。総悟は葵咲を落ち着かせる為、しゃがみこんで葵咲の肩を抱く。土方は部屋の中へと入り、急いで窓の外を確認した。
土方「…誰もいねぇぞ。」
近藤は念の為に外へと周り、誰もいないかを確認しに行った。
葵咲「いた!絶対いたよ!人影があったもん!!泥棒か何かじゃないかな?」
土方「泥棒だぁ?」
その意見には呆れ顔の土方だ。だが総悟は至って真剣に、葵咲の手を握りながら答える。
総悟「そいつァ大変だ!じゃあ今日は俺が葵咲姉ぇの部屋に行って寝やす!!」
葵咲「えっ?」
土方「総悟ォォォ!!てめェどさくさに紛れて何言ってやがんだァァァァァ!!」
土方は葵咲の手を握った総悟の手を引き剥がし、胸倉を掴んで叱責した。
総悟「土方さん何言ってるんですかぃ?ただの護衛でさァ。風呂で襲いかかってた土方さんに何か言う権利はありやせんぜぃ。」
土方「んだとコラァァァ!!あれは違うっつってんだろうがァァァァァ!!」
今にも乱闘が始まりそうな二人。ちょうど離れ周辺の確認を終えて帰ってきた近藤が二人を止めに入った。
近藤「おい、やめろ二人とも!」
近藤が二人を引き剥がしたところで、葵咲は自分の腰に手を当てて、怒ったような表情で土方に向かって言った。
葵咲「土方さん!そんな言い方、そーちゃんに対して失礼!違うよ、そーちゃんは私の身を案じて今夜は部屋をチェンジしようって言ってくれてるんだよ。ね?」
総悟「え。」
そうくるか天然ガール。そんな意見を予測していなかった総悟は何とも言えずに固まってしまった。
近藤・土方「・・・・・・・・・・。」
それは違うと思う。むしろお前のその意見の方が失礼だろ。そう思った近藤と土方は、総悟が少し不憫に思えてしまったのだった。