第90章 女の勘は結構当たる。
少しの時間が経ち、葵咲の涙が少し落ち着いた頃合いで銀時が静かに葵咲へと言葉を掛ける。
銀時「その涙、ヅラの前で流してみりゃ良いんじゃねぇの?」
葵咲「泣き落としって事?まさか!女の子も強くなってる時代だよ。涙が武器だなんていつの時代よ。」
実は試すような台詞を吐いてみた銀時。惚れ薬効果で手段も選ばない性格に変わっていないかを確かめる為に。だが、魂の根っこの部分は変わらない。そんな葵咲を見て安心したようにフッと笑みを零した。
葵咲「そんなんで私を選んでもらっても嬉しくなんかない。上っ面の涙で好きになってもらったって、先が知れてる。魂に惚れ込んでもらわなきゃ、意味がない。魂の共鳴が出来なきゃ意味ないでしょ。」
銀時「それなんか違うよね。アイツを武器化でもするつもりなの?」
“魂の共鳴”とは、ソウルイーターの必殺技である。話が逸れてきている事に銀時はすかさずツッコミを入れた。だがこれに対して葵咲は、作り笑いでも強がりでもない、本来の笑顔を浮かべて言葉を返す。
葵咲「でも、魂が惹かれあってこそ深い絆が生まれて、本当のパートナーとして長く寄り添えるんじゃないかなって思うんだ。」
銀時「フッ。そうだな。」
そしてまた少しの間、二人は言葉も交わさずに川の流れを眺めた。