第89章 恋をしている時は、全てにおいて奇跡や運命に紐づけてしまう。
追及するのでも話をすり替えるのでもなく紡がれていくその言葉に、葵咲は目を丸くする。
そして桂は目を開き、葵咲に真剣な眼差しを向けて続けた。
桂「…好きな物を好きと言っていい。我慢しなくて良い。欲しい物を欲しいと…言って良い。己の生まれ落ちた立場や境遇、過去など関係ない。俺にも、ましてや真選組の奴らになど遠慮する必要はない。もっと素直に自分の欲を口に出して良い。」
葵咲「太郎ちゃん…。」
そして桂は顔を上げ、空を指差した。
桂「見てみろ。」
葵咲「あ…虹…!」
雨は止み、そこには大きな虹が空を跨いでいた。
桂「今、葵咲がどういう状況に置かれているかは分からんが、もし辛いと感じる事があったとしても、必ず晴れ間差す時が訪れる。己の心がままに。お前の好きなように、魂の命ずるまま生きて良いんだ。己の欲を諦めるな。」
葵咲「うん…ありがとう。」
桂の想いをきゅっと噛みしめる葵咲。そしてこの日の占い結果を思い出す。恋愛運は最高潮。素敵なデートが出来ただけでなく、雨が晴れに変わり、虹まで出た事に奇跡を感じた。
食事を終えた二人は片付けを済ませる。
そして桂が椅子から立ち上がった。
桂「そろそろ帰るか?葵咲も元気が出たようだしな。」
葵咲「あ、あの!もう少し、もう少しだけ、良いかな?」
桂「?」
葵咲も椅子から立ち上がり、意を決するような顔を浮かべて桂を見据える。いつもと違う雰囲気の葵咲に、桂は目を瞬かせた。
- 次回予告 -
葵咲が桂を引き留めた先にある夕方からのプランとは?
次回!惚れ薬編、完結!
葵咲はとうとう桂への告白を決意する!?
お楽しみに~~~~~っ!!(≧∇≦)/☆˖°