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銀魂 - 雪月花 -

第89章 恋をしている時は、全てにおいて奇跡や運命に紐づけてしまう。


状況を聞いた山崎は納得したように頷いた。


山崎「あ~なるほど。そういう事か。いや~葵咲ちゃんのここ最近の態度、変だなぁとは思ってたんですよ。屯所内でも話題になってて。」

銀時「おいおい、大丈夫かよ。葵咲(あいつ)の立場とか。」


薬の事を知らない他の真選組面々からすれば、隊士の身でありながら攘夷志士を好きになってしまった事になる。これは切腹ものだ。それを心配する銀時だったが、山崎はあっけらかんとした様子で首を横に振った。


山崎「まぁそのへんはバカがバカな勘違い起こしてくれてるんで大丈夫です。」

銀時「?」


それ以上山崎は語らず、真選組内での事情は分からずじまいだが、山崎の態度を見るに全く問題はなさそうだった為、銀時もそれ以上は追及しなかった。
状況を把握した事で、山崎はフゥと一息ついて言葉を続ける。


山崎「今ここで桂を捕まえて葵咲ちゃんに変な影響及ぼしてもあれですし、一週間経てば戻るっていうなら、とりあえずは俺も静観するとしますかね。」


今の“恋は盲目”状態の葵咲であれば、桂が逮捕されようものなら、なりふり構わず桂を助けに入り兼ねない。そうなれば本当に真選組隊士として問題行動を問われそうだ。まぁそもそも山崎一人で桂逮捕は厳しいのだが、それも含めて桂逮捕は得策ではないと判断した山崎は踵を返し、水族館の入口の方向へと歩みだした。静観するといったそばからの真逆の撤退行動に銀時は全力でツッコミを入れる。


銀時「って言ってる傍から言動と行動とがめちゃくちゃなんだけどォォォ!?」


山崎は足を止め、振り返りながら自らの持論を述べる。


山崎「今日は旦那達が見張ってくれてるから大丈夫じゃないですか。人のデート尾行ほどつまらんものはないでしょ。」

銀時「俺だって心底つまんねーわ!」


二人でギャーギャー騒いでいると、何かにピンときた一郎兵衛は指をパチンと鳴らして山崎を指差す。そして山崎の心を抉るような言葉の矢を放った。


一郎「あぁ、さてはアンタ、まともに女と付き合った事ねぇな?何ならデートすらした事ねーんだろ。羨ましいんだろ。」

山崎「サクッと心の傷をえぐらないで!!とにかく、今日は任せましたよ。」


図星の山崎。尚更この場にいられなくなってしまい、半分涙目で走り去って行った。
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