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銀魂 - 雪月花 -

第88章 恋バナを心から楽しめるのはリア充だけ。


少しの時間が経過し、ようやく真選組を巻いた桂が葵咲の元へと訪れた。場所は本日の目的地である、大江戸水族館前。葵咲はカゴのバスケットを手に持ち、入口のところで待っていた。ちなみに葵咲のこの日の身なりはいつもと同じ服装。折角こぎ着けたデートだ。最初はとびっきりオシャレをして行く事も考えたが、あまりに気合を入れすぎて引かれたら嫌だと思い、結局いつもどおりの服装になってしまったのだ。


桂「すまない、待たせてしまったな。」

葵咲「ううん!今来たところ!」

桂「そうか。」


笑顔で返す葵咲に無理は見られない。それ故桂は葵咲の言葉をそのまま受け取った。
だが、その様子をずっと陰から見ていた一郎兵衛は舌打ちをして桂の方を睨む。


一郎「何が『そうか』、だよ。葵咲がどれだけ待ったと思ってやがんだ。」

銀時「・・・・・。」


そう、葵咲は小一時間程、この水族館前で待っていたのだ。飲み物を飲む事もなく、しゃがんだり近くのベンチに座ったりする事もなく。そんな健気な葵咲に一郎兵衛は胸をキュンとさせるも、同時に桂に対して怒りが込み上げていたのだ。
一方その一郎兵衛の苛立ちを傍で感じ取っていた銀時は、こいつホントに惚れ込んでんだな、そう思いながら一郎兵衛を一瞥した。

そんな二人に桂と葵咲は気付いていない。二人はチケットを買い、水族館の中へと入って行く。二人が中へ入った事を確認し、一郎兵衛も二人の後を追おうとした。
だが、ここで銀時は少し足を止め、一郎兵衛の背に話し掛ける。


銀時「つーかさ、この絵面大丈夫なの。良い歳した男(ヤロー)二人で水族館とかヤバくね?また何か変な誤解生まれるんじゃないの。」

一郎「・・・・・。」


言われて足を止める一郎兵衛。確かにそうだ。学生(という概念は銀魂世界にはないが)ぐらいの年齢ならばまだしも、良い歳した男が二人で水族館というのは少し不自然である。あらぬ疑いを掛けられ兼ねない。しかも銀時はこの間の一件、入れ替わり編で土方男が好きだという疑惑も生まれている。知り合いにでも出くわそうものなら、そのレッテルが確定的なものとなってしまい、大いなる大事故が発生してしまう。
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