第88章 恋バナを心から楽しめるのはリア充だけ。
銀時達は勿論の事ながらこの日も尾行。準備は万端だ。
事前に入手した待ち合わせ場所情報を元に、その付近にてスタンバっていた。
一郎「確か待ち合わせ場所ってこの辺りっつってたよな?」
銀時「あぁ。…来ねぇな。」
待ち合わせ時間は少し過ぎている。だがどちらも姿を現さない。桂はともかく、葵咲なら待ち合わせの数分前には到着していて良いものだが…。
すると一郎兵衛が何かに気付いたように視線を上にあげ、銀時の背中をツンツンと小突いた。
一郎「おい、あれ…。」
そう言われて銀時も一郎兵衛が見ている方を見上げる。目を向けると、屋根の上で仁王立ちで立っている桂の姿があった。
銀時「屋根の上!?何やってんのあいつゥゥゥゥ!!」
一郎「あれじゃね?あの男指名手配されてるし、人との接触避けたんじゃね?三密避けたんじゃね?」
銀時「いやいや、逆に目立ちすぎだろーが!!」
銀時が全力でツッコんでいると、そこに葵咲が少し遅れて登場。葵咲もまた屋根の上を歩き、桂の傍へと駆け寄った。
一郎「あっ!葵咲が来たぞ。」
葵咲「お待たせして申し訳ありません。」
桂「こんな場所を指定してすまないな。」
そう言って少し悪びれる桂に対し、葵咲は首を横に振った。そして丁寧にお辞儀しながら頭を下げる。