第88章 恋バナを心から楽しめるのはリア充だけ。
「あらぁん♡お兄さん、奇遇ねぇ♡」
振り返ると、そこには惚れ薬をくれた占師がいた。
この日も占師は営業していた様子。一郎兵衛が出会った時と同じく、机に白い布を掛けてその前に座っている。
一郎「ん?あぁ、アンタは…。営業場所変えたのか?」
占師「私はいつも違う場所で商売してるのよん♡」
そう、ここは一郎兵衛が声を掛けられた場所ではない。しかも占師の服の色が違っていた。先日惚れ薬を貰った時には黒いヴェールを纏っていたが、この日は濃い紫色のヴェール。故に一瞬誰だか分らなかったのだ。
占師はクスッと笑って笑顔を向ける。
占師「で、どう?上手くいったかしら?」
一郎「・・・・・。」
全く持って悪気のない占師だが、一郎兵衛には死人に鞭打つような待遇に思えてしまう。
意気消沈して言葉を失う一郎兵衛を見て、占師は空気を読んだ。
占師「あら、ごめんなさい♡その様子じゃ失敗しちゃったみたいね♡」
空気を読んだといっても、慰めてくれる雰囲気はない。まぁ元よりそんな事は期待していなかった一郎兵衛は、気を持ち直して占師に言葉を返す。
一郎「薬自体はスゲー効力なんだがな。そうさせる相手を失敗しちまった。悪ィけど被験者の報告は出来なさそうだわ。」
占師「あらそぉ…残念♡」
一連のやり取りを傍らで見ていて銀時は気付く。そう、至極切望していた おっぱい占いの占師であると…!
それが思わず口から出ていた。
銀時「え、もしかしておっぱい占いの!?」
占師「初めまして♡」
ニッコリ営業スマイルを返す占師。それに対して銀時は食いつくように話し掛けた。
銀時「俺はその占いの方が気になるんですけど!今から是非お願い出来ませんかね?」
占師「あら♡嬉しい♡けどごめんなさいねん♡今日はもう店終いなの♡また来てね♡」
銀時「・・・・・。」
そう言って占師はそそくさと店じまいを始めてしまう。銀時は何とも言えない表情でそれを見つめていた。