第9章 一番風呂が一番良いとは限らない。
普段は髪を下ろしていたり、首元でお団子にしている葵咲だが、今は風呂場で髪を上げていて、項が見える。バスタオルはそんなに大きくないので胸の谷間も見え、太腿のあたりもかなり際どい。そして水も滴る良い女、とでも言うのだろうか。肌は水を含んでいてかなり色っぽい。しかもしっかりと抱きかかえている為、肌と肌が直接触れ合う。少し落ち着いて冷静に今の状況を把握した土方は、この選択をしてしまった事を酷く後悔した。
(土方:やべぇ、思い切ったことしちまったかな…。・・・・・これ…俺、もつのか?)
そう心の中で思い、必死に煩悩と戦う土方だった。その時、シャワーの蛇口についていた水滴が葵咲の足へと落ちてきた。葵咲は突然足に触れた冷たい水に吃驚して、思わず声を上げる。
葵咲「ひぁっ!」
折角必死に我慢して耐えているのに、その声で一瞬で理性が吹き飛びそうになる土方。土方は赤面して小声で葵咲を怒る。
土方「ちょ!お前っ!変な声出すんじゃねーよ!!(小声)」
葵咲「だっ、だって~…。(小声)」
土方「ちょっとはこっちの苦労も分かれよ!!(小声)」
葵咲「す、すみません。じゃあ抱っこ代わります!(小声)」
土方「そっちじゃねェェェェェ!!(小声)」
隣のシャワールームにいる隊士には葵咲の小さな悲鳴のような声が聞こえていたようだ。そしてその事を口に出す。
「あれ?何か今変な声聞こえなかった?」
ヤバイ!バレる!!そう思った土方は、敢えて声を出した。
土方「ひっく!!」
「その声、もしかして副長っスか?」
土方「お、おう。悪ィな、さっきからシャックリが止まらなくてよ。声も裏返っちまって。」
「ああ、なんだ、そうだったんスか。」
どうやら隊士は納得してくれたようだ。