第87章 恋する乙女のバイブルは星座占い。
万事屋から離れた銀時は再び一郎兵衛と合流。銀時が戻るや否や、一郎兵衛は銀時に万事屋での葵咲の行動について尋ねた。
一郎「どうだった?葵咲のやつ、何て??」
銀時「ヅラの連絡先を訊きに来てたらしい。」
それを聞いて一郎兵衛もすぐさま納得の表情を見せる。
一郎「あ~なるほど。で、連絡先教えたって?」
銀時「いや、俺らあいつの連絡先知らねぇし。」
一郎「ダチじゃねぇのかよ。」
思わず出たツッコミだった。一郎兵衛は銀時と桂が昔攘夷戦争に参加し、背中を預けあった仲だという事は知らないが、友人・知人であれば連絡先の一つや二つ知っているだろうと思ったのだ。
だがそれ以上詮索する気はなく、安堵したような笑顔で再び葵咲の方へと目をやった。
一郎「でもま、それなら安心だな。こっちから連絡取る手段がねーんなら、一週間効力切れるのをただ見守ってりゃ良いわけだ。」
二人が自分の事を尾行している事に気付いていない葵咲は、思い詰めたような暗い表情を浮かべている。
(葵咲:どうしよう、太郎ちゃんに会いたくても連絡が取れない…。神楽ちゃんの話では銀ちゃんも知らないっぽい事言ってたし…。)
募る想いは増すばかり。会えないと思うと余計に会いたくなる。だが頼みの綱である万事屋すら桂の連絡先を知らないとなると、もう成す術はない。葵咲は大きなため息を吐いた。すると、そのため息を聞いていた人物が葵咲の前へと立ちはだかった。
「どうした?大きなため息など吐いて。そんな事では幸せが逃げてしまうぞ。」
葵咲「え?」
聞き覚えのある声。いや、今一番聴きたいその声に、葵咲は思わずバッと顔を上げる。そこには紛れもない桂が立っていた。
葵咲「た、太郎ちゃん!?」
銀時・一郎「!!??」