第86章 盲目すぎる恋は周りに迷惑を掛ける。
※ 回想シーンと現在の会話とが混合する為、今回は回想シーンの会話を『』とさせて頂きます。
占師『あらぁん♡良いオトコ♡ねぇお兄サン、良かったらうちで占ってかなぁい?』
一郎『あ?・・・・悪ィな。俺ァ占いの類は信じねぇんだ。』
占師『まぁ、残念♡』
占師は黒いヴェールを被っており、目元以外は見えず、はっきりとした顔は分からない。だが、ヴェールから覗かせる大きく美しい瞳や目元の化粧(けわい)、その声色や雰囲気から、齢(よわい)は同じくらいの女性であろうと推察された。
一郎兵衛は当時の状況について目を細めて記憶を手繰ろうとする。そして店先に置いてあった看板の名を口にした。
一郎「そう、“おっぱい占い”の占師に声掛けられたんだ。」
銀時「おっぱい占いって何。そのワードが気になって後の話が全然頭に入って来なさそうなんだけど。」
銀時から投げられたツッコミを無視し、一郎兵衛は話を続ける。再び一郎兵衛の回想へ。
一郎兵衛は、占師に呼び止められるも占いには全く興味なし。だがそのテーブルの上に置かれた、ピンクの液体の入った小瓶は気になった。そしてその事が思わず口をつく。
一郎『ん?それは…?』
占師『これ?これは惚れ薬♡気になる女の子をゾッコンにさせる事が出来ちゃう薬よん♡』
一郎『!』
占師は小瓶を親指と人差し指に挟んで持ち上げ、自らの顔の横に掲げる。通りすがりに足を止めた一郎兵衛だったが、ここで占師の方へと向き直り、関心を示す表情を浮かべた。
そんな一郎兵衛の顔を見た占師はクスリと笑う。
占師『でもお兄サンみたいな色男には必要ないんじゃなぁい?』
一郎『いや、占いよりそっちの方が断然興味あるね。』
フッと笑みを浮かべ、両手を袖に通して腕を組む一郎兵衛。そんな一郎兵衛を見て、占師もまた妖艶な笑みを浮かべた。
と、ここで再び銀時がツッコミを入れる。