第86章 盲目すぎる恋は周りに迷惑を掛ける。
心ここにあらずで、時折見せる色っぽい表情に甘い溜息。そんな葵咲が描き出したのはエリザベスの似顔絵…!これはもう確信というより他なかった。
そしてここで土方が何かを思い出したように顔を上げ、総悟の方へと顔を向けた。
土方「…そういやぁお前、確か誕生日に…!」
総悟「!!」
そう、思い出されるのは銀魂雪月花、第二十五訓。祝われた総悟の誕生日会で、葵咲が総悟にプレゼントしたのはエリザベスによく似た宇宙怪獣ステファンの抱き枕。なかなか印象的なプレゼントであった為、真選組の誰もが覚えている。…まぁこれはたまたま偶然の一致にすぎないのだが、今の四人には全て因果関係があると思われて仕方なかった。
山﨑「そんなに前から!?…ずっと想い続けてたって…言うんですか?」
土方「・・・・あいつ…それをずっと思い悩んで…。」
四人は何とも言えない表情を浮かべ、少し青ざめた様子で俯く。その場には重い沈黙が流れた。今後どうすべきなのか…。
悩み俯き、誰もが口を噤む中、一番に口を開いたのは総悟だった。
総悟「…土方さん、まさかとは思いやすが、葵咲の気持ちを酌(く)んで自ら身を引くなんて事ァ考えてませんよね?」
土方「!」
総悟「いくらお人好しのアンタでも、ここは引いちゃいけねぇや。」
そう語る総悟の瞳は死んではいなかった。
いや、むしろ熱い闘志に満ち満ちている。