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銀魂 - 雪月花 -

第86章 盲目すぎる恋は周りに迷惑を掛ける。


その日の夕方。
ひとまず屯所へと帰された葵咲は、いつもどおり食堂での仕事を始める。だがその心はここにあらず。全くの上の空で隊士達の注文を承っていた。
明らかに様子のおかしい葵咲に隊士達は気付いているが、訊くに訊けず、ただチラリと一瞥して自分の注文した食事を受け取る。そして次に近藤が葵咲に日替わり定食を注文した。


葵咲「はぁ~~~~~~~。」


目の前で大きなため息を吐く葵咲。近藤は怪訝な顔を浮かべるも、ひとまずその様子を見守る。すると葵咲はあろうことか、冷奴にソースを掛け始めた!


近藤「お、おい葵咲!?葵咲!葵咲ァァァァァ!!」


近藤に呼ばれて、ようやくハッと我に返る葵咲。葵咲は慌てて手を止め、ソースを持っていない方の手で口を塞ぐ。


葵咲「あっ、ご、ごめんなさい!掛けすぎた!」

近藤「いや、そうじゃなくて!それソースゥゥゥ!冷奴にソースはやめて!せめてポン酢にしてっ!」


嗜好の問題故、深くツッコむ事は出来ないが、冷奴にソースを掛ける者は極めて少数ではないだろうか。少なくとも近藤はそういった嗜好は持ち合わせておらず、冷奴には醤油かポン酢派だった。

葵咲は近藤に出そうとしていた冷奴を慌てて下げ、新しい冷奴を冷蔵庫から取り出す。そして新しく出した冷奴に、今度はマヨネーズを掛け始めた。


葵咲「ごめんね、さっきのは私が食べるから。近藤さんはこっちね。」

近藤「いや、マヨネーズも無理ィィィィィ!俺トシじゃないから!それはトシに渡したげて!!」


冷奴紛争が何とか幕を閉じ、無事に醤油が掛けられた冷奴を受け取る近藤。近藤は心配そうな顔で葵咲を見やるが、葵咲は相変わらずぼーっとしていた。
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