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銀魂 - 雪月花 -

第86章 盲目すぎる恋は周りに迷惑を掛ける。


一方銀時は、葵咲の話を聞いているようで聞いていない様子。右手で頬杖をついて、顔はそっぽを向けている。挙句の果てには左手で鼻くそをほじる始末だ。そんな銀時の態度を見て、怒りを見せたのは一郎兵衛の方だった。


一郎「おい銀!何のんびりしてんだよ!このままじゃさっきの男に葵咲持ってかれちまうぞ!」


一郎兵衛は銀時の耳元にコッソリ耳打ちする。目の前にいる葵咲は自分の話に酔いしれていて目の前の二人の会話には気付いていない。銀時は一応葵咲の様子に目を向けながら、自分が落ち着き払っている理由を述べた。


銀時「心配いらねーって。ヅラ(さっきの男)はコイツに興味ねーから。あいつ人妻好きだから。」

一郎「え?マジ?」

銀時「マジです。」


ただただ“葵咲に興味がない”とだけ言われても信憑性に欠けるものがあるが、“人妻好き”とまで言われれば話は別だ。一郎兵衛は銀時が桂と近しい仲である事を察し、少し明るい表情を取り戻した。そして銀時は死んだ魚のような目のまま続ける。


銀時「だからまぁとりあえず変な方向に行かねーようにだけ見張っとけば良いんじゃね?まぁあいつクソ真面目だからそれもねぇと思うけど。」


目の前で男二人がコソコソと話をしている事にようやく気付く葵咲。葵咲は眉根を寄せてプンスカ怒った表情を浮かべる。


葵咲「ちょっと銀ちゃん!一郎君!人の話聞いてんの!?」

銀時「はいはい、聞いてるって。」

葵咲「『はい』は一回!」

銀時「ふぁ~い。」


態度を改めさせようと注意を促すも、目の前の銀時(おとこ)はあくび交じりで返事をするだけ。その様子にカチンときた葵咲は、テーブルをバンッと叩いて立ち上がった。


葵咲「~~~~~っ!もういい!帰って土方さんに相談するもん!」


そう言ってその場から駆け出そうとする葵咲。葵咲の捨て台詞を聞いてようやく銀時が立ち上がった。


銀時「マヨネーズはやめとけ!マヨネーズはやめとけェェェェ!!大惨事になるだろうが!色んな意味で!!そのへんの見極めも出来なくなってんのかァァァ!恋は盲目かァァァァァ!!」


すっかり周りが見えなくなってしまっている葵咲を、なんとか寸でのところで銀時が葵咲の手首を掴み、その愚行を阻止した。
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