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銀魂 - 雪月花 -

第86章 盲目すぎる恋は周りに迷惑を掛ける。


突如、様子や態度が一変してしまった葵咲。その事について銀時は一郎兵衛を睨み、説明を促す。一郎兵衛は観念した様子で白状した。少し前に歌舞伎町で遭遇した占師から惚れ薬を貰い、それを飲み物に混入させた事を。そしてその惚れ薬の効力は一週間程度であるという事も。

事のあらましを聞いた銀時は、深くため息を吐いたものの、特に焦る様子はない。むしろ一郎兵衛と違い、効力が一週間と聞いて落ち着きを取り戻したようだ。それはその相手が桂だった事が起因している。

銀時は頭をボリボリ掻いて、この事態を上手くやり過ごす為にはどうしたら良いか、頭を巡らせようとする。だがその時ふと葵咲に目をやると、葵咲が自分の今の気持ちについて、銀時に話を聞いて欲しそうな素振りを見せていた。銀時は仕方なく、そちらを優先させる事にする。
公園の隅にあるテーブル席のような造りの、木目調のベンチに腰掛け、机を挟んで向かい側に葵咲を座らせた。銀時の隣には一郎兵衛が腰掛ける。態勢が整ったところで、葵咲がすぐさま口火を切った。


葵咲「どうしよう~~~!私、貴公子様に恋しちゃったみたいなの~~~~~っ!」

銀時「狂乱の貴公子な。」

葵咲「私なんか一般庶民が貴公子様に恋するなんて…やっぱり身分違いかなぁ?」

銀時「そりゃ真選組と攘夷志士だからな。」

葵咲「でもね、さっきね、手を差し伸べてもらった時キュンってきちゃって。太郎ちゃんってこんなに手大きかったっけ?とか、こんなに男らしくて凛々しかったっけ??って!」

銀時「はいはい。」

葵咲「整った顔立ちに、黒くて綺麗な長い髪…。はわわわわ~。どうしよう~夜眠れないよ~~~~~っ!」


頬を赤らめながら意気揚々と自分に芽生えた恋心について語る葵咲。その様子はまるで初めて恋をした10代の女の子のようだ。
そんな初々しくも甘酸っぱい可愛らしさに、一郎兵衛は顔を青ざめさせる。葵咲自体は可愛い以外他に感想はないのだが、それが自分に向けられた想いではない事に意気消沈しているのだ。
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