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銀魂 - 雪月花 -

第9章 一番風呂が一番良いとは限らない。


葵咲が風呂に入って少し経った時、真選組隊士達が屯所へと帰ってきた。山崎が聞いていた予定では、早くても夜の九時を回るとのことだったのだが、隊士達の働きにより、予定より大幅に早く仕事を終えて帰ってこれたのだった。
勿論、この男も帰ってきた。真選組副長、土方十四郎。土方は屯所に帰ってきて早々、葵咲に頼みたい仕事があった為、葵咲の姿を探した。だが、離れは勿論、台所等にもその姿はなかった。


土方「あれ?何処行ったんだあいつ…。買い物か何かか?…まぁいい、先風呂にでも入るか。」


葵咲を探す際に、風呂場の前を通りかかり、風呂が湧いている事を知っていた土方は、そう呟いて風呂場へと向かった。

脱衣所にて何も考えず、無心で服を脱ぐ土方。いつものように腰にタオルを巻き、風呂場の戸をガラガラッと開いた。


葵咲「え?」

土方「え?」

葵咲「きゃあああああ!!」

土方「のわァァァァァァ!!!!!わわわ、悪ィ!!」


まさか風呂場に葵咲がいるなんて微塵も予期していなかった土方。しかも風呂場という無防備な場所で無心だっただけに、その戸惑いは今までにはないものだった。土方は慌てて後ろを向き、後ろ手に戸を閉める。葵咲は湯船に浸かっていたので、残念ながら何も見えなかった。…いや、残念などと言っては訴えられるが。この時はあまりに衝撃的な遭遇であっただけに残念などという感情は頭の片隅にもなかった土方だった。
葵咲の方も想定していない出来事だった。山崎の話では夜遅くの帰宅予定と聞いていたのだから。そして葵咲は風呂の中から、外にいる土方に向かって先に風呂に入った事を謝る。


葵咲「い、いえ、私の方こそ!きょ、今日は皆遅くなるって聞いたから先にお風呂入っちゃって…ごめんなさい…!!」

土方「いや、それは別にいいんだが…って…え?お前いつも後で入ってたの!?」

葵咲「え?う、うん。」

土方「んな事してたら、また寝る時間遅くなんだろが!先入っとけよ!!隊士何人いると思ってんだよ!つかこの人数の男の後の湯船なんて汚すぎんだろ!」


その反応は山崎の反応と全くと言っていい程同じものだった。
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