第8章 はち (DGM/ラビ)
「……本当の私は此処だよ、ラビ。アンタに刺されてなんかない、いつも沢山愛されて、幸せなんだよ、私。ちゃんと、現実の私、見て。」
知ってた、ラビが夢の中で私のことを刺したこと。私とラビの関係を知ってたのか、ロードはご丁寧に私にまで彼の夢の一部始終を見せてきたから。それでも、あれは私なんかじゃなかった。「恋人の私のことをただのインクだと思っていたの??」って?そんなの当たり前じゃないか、彼はブックマン後継者なんだから。だけどインクはインクでも、きっと彼は私を含め、黒の教団の仲間たちを、"ただの"インクとしてじゃない、きっと想いも乗せて記録してくれるだろう。彼は、変わったから。というか、根は優しい人だから。想いに潰されてしまうかもしれないと言うのなら、私が隣にいて一緒に背負ってやる。
「私を、ちゃんと見て…!」
もう一度、絞り出すように声を出した。
その瞬間、ラビのその翡翠の瞳からはらりと溢れる一滴。それを機に、留まることなく大粒の雫が彼の頬を濡らす。
男の涙なんて初めて見たけれど、情けないなんてない、とても綺麗だった。
「……、、、…………!!」
涙が止まらない目元を腕で隠しながら、ラビが悲痛な声で私の名前を呼ぶ。
隠さないでいいのに、と思うけれど、男にはそれなりのプライドってもんがあるんだろう。
「たまには、泣いてもいいんじゃない、ね?」
ラビの体ごとごろんと90度体を転がして、足元に固まっていた布団を引っ張って頭から被る。
今日くらい私から胸を貸してやろうと、嗚咽交じりに泣く彼の頭を優しく抱き込んだ。
Fin.
中也とか晴齋とか書きたいんだけどな…!
晴齋は書き途中。中也が足りませんね。中也不足。