第8章 はち (DGM/ラビ)
ラビの様子がおかしい。
方舟での戦いから戻ってきてから、私の顔を見るとなんだか苦しい表情をするし、二人きりでいるときも前とは違ってそういう雰囲気にもならない、というか逃げられている気がする。
別に欲求不満ってわけじゃないけど、やっぱり多少の触れ合いは欲しいわけであって。以前はうざいくらいに伝えてくれてた愛の言葉も、ないとそれはそれで寂しいし、不安なのだ。私の我が儘なのかもしれないけど。
今だって、ほら。
「……………」
「…………」
私の部屋のベッドの上で背中合わせになって、ラビは歴史書、私は小説にそれぞれ読み耽るのはいつものことだけど。
今日はとりあえずラビは集中できてない。ときどき何か言おうとしてるみたいに私を盗み見てるのはバレバレだし。
ふう、と小さく息をついて読んでいた小説を閉じる。
ラビの行動を待ってたらきっと埒が明かないし、まあたまには私が彼を甘えさせてあげないと。
ラビから背中を離して振り返る。背中の重みがなくなったのに彼が言葉を発する前に、彼の手から歴史書を取り上げて、横に置いて。
「わっ、、どうしたんさ…!」
ラビの戸惑いの言葉を聞きながら、後ろから彼の肩を引いて倒して、それから素早く彼の上に跨がった。
ラビ、すごい焦ってる。面白い。
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