第3章 さん (不機嫌なモノノケ庵/阿倍晴齋)
高校の屋上。
学内ではすでに部活が始まっていて、校庭からは運動部の声が響く。
今日は現世での依頼の続きをする予定であり、と阿倍とモジャは、所用で先生に呼ばれた花繪を待っていた。
「くうぅ………………」
運動部の声に混ざる小さな呻き声。
が正座をし、両手でお腹を抱えて前屈みに突っ伏している。
近くにいるモジャはその様子を心配そうに見つめていた。
「んんん………」
「………」
「きつい……しぬ…………」
「………」
「うぅー………」
「おい、さっきから五月蝿ぇが一体どうした。」
から少し離れたところで正座をして腕を組み、目を閉じていた阿倍は、ようやく訝しげに彼女に目を向ける。
その怪訝さを感じ取ったのか、は顔だけ上げてじろりと阿倍を睨んだ。
「……お腹痛いのよ」
「腹?」
「下腹部。」
「……ああ。恒例のアレか。」
彼女の言葉に、もう当たり前のように目星がつく。
女の子が逃げられない、月一のもの。
今回は余程重いらしかった。
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