第2章 に (BLACKBIRD/伯耆)
暫くの沈黙のあと、悠は私から離れて肩を持ち、私の顔を覗き込む。
「…ごめん、」
「……許さない。」
「ごめん」
「どれだけ心配したと思ってるの。」
「ごめ…………!」
謝ってばかりの悠に少しいらっとした。
謝罪の言葉を止めようと、私はその言葉を苦しそうに吐く彼の唇に自分のそれを押し当てた。
「…っ、、」
「そんな言葉なら、こっちのほうがいい。………無事でよかった、悠。」
普段は自分から行動などしないのだが、彼の姿を見た瞬間からつもり積もった心配が愛おしさに変わり、思わず。
それと同時に緊張していた涙腺が弛み、私の頬を温かいものが伝った。
「……ありがとう、。」
静かにそう言って、悠が私の涙を親指でぬぐう。
そしてそのまま左手が後頭部に回ったかと思うと、もう一度、今度は深く口付けられた
。
先ほどまで私の血を飲んでいたからか、口の中にほのかに血の味が広がる。
私の血って私自身には効かないんだよなあ、とか悠長に考える思考も、深々と咥内が蹂躙されていくにつれて融けていく。
「っ、は…あっ………」
苦しそうになった私に気づいたのか、悠がゆっくりと唇を離した。
「……これでよかった??」
「…うるさい」
「さっきはあんなに素直だったのに」
ふふ、といつもの少し悪戯な笑みを浮かべる悠。
ああ、ちゃんと効いてきたんだなと私は安堵する。
だけど悠は珍しくまだ物足りない顔をしていて。
もう一度後頭部にある手に力が入ったかと思った瞬間。
.