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淡い恋 [刀剣乱舞]

第1章 賑やかな本丸


「ちょっと待って!」

加州が春香の腕をつかんで引き留めた。
何事かと皆、二人の様子を伺っている。
加州は血相を変えて、春香に詰め寄っている。

「ちょ、それじゃあ約束の買い物に行けないじゃん!!」

言われた春香は、きょとんとしている。
周りも、なんだとばかりに気が抜けた顔をしている。

「確かに、明後日は現世に行って買い物をする約束だったけど、来週でも行けるでしょ?それよりも任務の方が大事でしょ?」

あっさりと返されてしまった加州はむくれている。

「それは…そうだけどさぁ…」

買い物には中々行けないうえに、大所帯となったため一度の買い物量が多く、
基本的には春香の他に刀剣を二振りは連れて買い物に行くのだが、今回の買い物は量が少なかったので、春香と加州の二人で行く予定だった。
加州は、久しぶりの二人きりに心を躍らせていた。
しかし、今回の急な任務とあっさりと春香に返された言葉。
こんな悲劇があっていいはずがないと、加州は叫びたい気分になった。
しかしまぁ、と和泉守が困った顔をしている。

「買い物が来週になるのは少し困ったな。買ってきて欲しいものがあったんだが…」
「確かに明後日の買い物を飛ばすと辛いかも…」

その言葉に加州はよし!と心の中で呟いた。
この調子でいけば、二人での買い物が可能になると思ったのだ。
春香は腕組をしてうーんと唸っていたが、
ふと、一期と目が合い、そして、何かを閃いたようでポンと手を叩いた。

「じゃあ、買い物は一期と行こう!一期は、まだ現世に連れて行ったことがないし、良い機会かも!」

加州はその選択肢はなかったとばかりに、ガックリうなだれてしまった。
指名された一期はと言うと、少し戸惑っている。

「わ、私ですか?」

その言葉に、春香はコクリと頷いた。

「ここに来て少し経つけど、まだ現世には連れて行ったことがなかったでしょ?今回、あなたの率いる4番隊は遠征には行かないし、いい機会だと思うの。だから、ね。ダメかな?」

三日月達もそれは名案とばかりに頷いている。
皆の同意に、加州ははあっとため息をついて一期を見た。

「まあ、一期なら邪な気持ちも持ってないから安心か。いい機会じゃん。行ってきなよ。」

加州にまで促された一期は戸惑いながらも頷いた。
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