第2章 一期一振、現世へ行く。
買い物を全て済ませ、本丸へ繋がる部屋に帰宅する頃には日が傾いていた。
ほとんどずっと繋いでいた手は、部屋へ戻ると同時に離された。
一期は繋いでいた手の感触が名残惜しかった様で、自分でも気づかない内に寂しそうな顔をしていた。
それに気付いた春香は、心配そうにしている。
「一期、やっぱり現世は疲れた?もう行くの嫌になった?」
一期がふるふると首を降り、楽しかったと伝えると春香は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、本丸に帰ろっか!」
「あ、あの、また、こちらへ連れてきて頂けますか?」
その言葉に春香は嬉しそうに頷いた。
そして小指を出して言った。
「じゃあこうしましょ。一期が一番隊に昇格したら、また2人で来よう。」
「わ、私が一番隊ですか!?そんな、私にはそんな実力ございません!」
恐れ多いとばかりに首を振る一期にそんな事はないと春香は言った。
「兼さんも、三日月さんだって一期は才能があるって言ってたよ。大丈夫。一期なら絶対なれる。私、信じてるから。だから、約束。ね?」
その言葉にコクリと頷いて、春香と一期は、指切りをした。
なんの不安もなくそう言ってのける主の言葉は最大級の魔法の様に一期に目標を与えた。
それからは、一期は一番隊を目指す日々が始まった。