第20章 選択する
少女はどうやって部屋に戻ったのか覚えていなかった。
気づいた時には鳥がさえずる爽やかな朝だった。
ホグワーツ内の自身の部屋は以前と変わらず、
窓からは朝日が差し込みとても理想的な目覚めだ。
『酷い顔…』
備え付けの洗面所で顔を洗うと自身の顔が目の前の鏡に広がる。
まゆを潜めるもこの鏡は酷い顔をした少女以外を映さない。
少し目が充血している。
腫れぼったい気がするが腫れるほど泣いた記憶はない。
それよりも疲れが顔にでている。
今日を乗り切れば休日だ。もう少しでテストということもあり課題は山のように出るが少しは休めるだろう。
色々と考えることがある、それは少女にも分かっていた。
面倒だと避けては居られないし避けていては突然選択の場に出てしまうだろう。それもわかっていた。
今日ぐらいは何も考えず過ごす。
2日後に少年と決闘の練習がある。それまでに考えよう。
そう少女は決心して考え事を頭の隅に追いやる。
あとから振り返るとこれも逃げだと言えるが少女からしたらそうしなければならないほど疲弊していたのだ。
少女が体に鞭打ち大広間に使う頃少年は談話室で降りてこない少女を待っていたとは知る余地もないのである。