第19章 嘘つきはだれ
チラチラと赤い影が見える瞳と静かな夜闇のような濡れた黒い瞳が見つめ合う。
『本音は?』
「本音も何も好きだから付き合いたい、それはおかしいことかい?」
『いいや?普通ならおかしくないけどリドル君がそう思うはずない』
少女は確信を持って少年に疑問をぶつけた。
少年の口調は穏やかだ。
しかし瞳が赤い。
怖い、こわい、コワイ
ピリピリとした緊張が少女の肌を刺す。
このまま少年の手に落ちてしまえば緊張からは開放されるだろう。
しかし少年は愛を知らないが故にハリーポッターに負けたのではなかったか。
ここで信じたらダメだ。そう少女の警鐘が激しく訴えている。
「ヒカル、考えすぎだ。返事は?」
有無を言わせない赤い瞳と声が少女を圧倒する。
息が詰まりそうだ。
1歩踏み出した少年から冷たい冬の冷気のような香りがする。
本来なら火照るはずの頬も高鳴るはずの鼓動もなく、思考が息が少年の冷たさで凍りそうだった。
こんなにもときめかない告白がこの世にあるだろうか。
『……っ時間を、ちょうだい』
「…。いいだろう。いい返事を期待してる」
そう少年は言い残し頬にキスをして去っていった。
少女は保留という名の逃げに出た。
一時の緊張からの解放は何の解決にもならないと知りながら、逃げたのだ。
部屋には少女のみが残された。
触れるようなキスなのにいつまでも少年の冷たい香りがそこに残っていた。
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お久しぶりです。
海外の方に留学しており、更新が滞ったことをお詫び申し上げます。
またコツコツ上げていくのでよろしくお願いします!