第19章 嘘つきはだれ
時間はいくらか過ぎてもうすぐ学年末試験の勉強を始めようかというイースター休暇の暫くあと、少女と少年は相変わらず決闘の訓練をしていた。
杖を取られることはなくなり、互角とも言えるほど拮抗した実力で決着がつかなくなることも多くなった。
とは言っても少女は高校2年生の年齢、少年よりはるかに年上なのだ。少年が天才なのか、少女が劣等生なのか…この場合は前者だろう。
そんな訓練後のことだった。
「ヒカル、僕と付き合ってよ」
『はい?』
ムードもへったくれもない告白。
しかも訓練後とあって酸っぱい匂いがかすかに残る部屋での突然の告白だった。
「こっちではこんなきちんと告白という形で始めたりしないんだけどね、ヒカルは日本人だからはっきり言わないわからないだろう?」
『付き合うって、恋人とかそういう?』
少女は驚きが隠せなかった。
今までそんな素振りなかったのだ。むしろ原作どおり少年のことを〝愛なんてクソくらえ〟のスタンスだと思っていたのだ。
「それ以外になにがあるのさ」
『でもリドル君、私のこと好きじゃないでしょ』
「まさか!好きだよ」
大袈裟に驚く少年とまゆを潜める少女。
『……嘘。』
少年の微笑みと共に告げられた好き、顔を合わせると目が笑っていない。
赤い瞳はチラチラと影が見えたのだった。