第18章 とまる
珍しく少年の心配により決闘の訓練は暫く間が開くことになった。
一途に心配する少年ではないので必ず裏があると踏んでいる少女だったが尻尾は捕まえられずにいるのが現実である。
少年は少年でマルフォイ家とブラック家の次期当主を取り込んだことにより本格的に夢へと向かって進み始めたためより一層忙しい日々を送っていた。
偉大な血を引いているのにも関わらず死んだ母。
そして名前が同じ汚らわしい血の流れる父。
少年はますます死への克服と純血主義に拍車をかけていった。
その頃少女の元にある依頼が来ていた。
依頼主はアンナ。
月に一度の薬の依頼である。
当のアンナは月に一度の日の症状が重く、しかも保健室にある薬は合わないらしい。
「ヒカルとアンバーはいいわよね、苦しまなくて…」
「まぁまぁ、体質と言いますからね…」
『あー…私まだなんだよね』
「は?」
「本当に?個人差とはいえここまで遅いと心配ですわね…」
『今度マダムに相談しようかなぁ…保健室に置いてある薬の成分も知りたいし』
少女は友人の依頼を受けるまで月のものの存在を忘れていた。
確かに女にとって嬉しいものではないので無いならないで気にならなかったのかもしれない。
しかし少女は3年生として過ごしているがここに来た時にはすでに高校生。もう5年以上の付き合いのあるものだった。
こちらの世界に来る前は毎月変わらず来ていた。
しかしこちらに来てからというものの1度もないのである。
友人の依頼で思い出し、空恐ろしい気になったが別の世界から来ていることを知らないマダムに相談しても…という気がして対処でしないでいたのだった。