第18章 とまる
カラカラカラ………
茶色いよく手入れされた杖はかわいた音を立てて少年の後ろを転がっている。
確かに自分の魔法は少女の杖を捉えたはずだった。
なのに、なぜ転がる杖は自分の杖なのか。
気絶しているであろう少女の利き腕にはしっかりと半透明の杖が握られている。
少年の魔法があたり杖がてから離れる前に少女は自分の杖に武装解除を当てたというのだろうか。
そうだとしたら神業とも呼べるほどの早業である。
「面白い」
計画のために少女の特訓につきあう事にした少年はすでに少女自体に興味が湧いてきていた。
異世界からやってきたという少女。
理解の追いつかないこの状況を生み出したのは自分ではなく少女だとハッキリとわかっていた。
杖を拾い上げ少年は少女に気つけ魔法をかけるとうぅ…と唸りながらも少女は目覚める。
壁に当たったであろう後頭部を抑えながら少女ゆっくりとした動作で起き上がる。
『惜しかったなぁ…。』
「気絶はしたけど杖は飛ばしたじゃないか」
『え?』
「え?じゃないよ。武装解除は成功したじゃないか」
『嘘…。』
「こんな嘘僕がつくと思うの?」
『オモイマセン』
少女は未だに信じられないようだ。
無意識に武装解除を掛けたのだろうか?
少年の思考が深くなり始めた頃少女の腹の虫が大きく鳴いた。
ぐぅー
「……はぁ」
『ゆ、夕飯時だから!それにいっぱい練習したし!!』
「大広間に行こうか」