• テキストサイズ

制服少女と赤瞳少年【HP】

第17章 VS


甘ったるい空気は徐々に消えゆき、校内は次の休暇に向け浮き足立っていた。
クイディッチの試合も順調に進みそろそろ冬の寒さも薄らいだことから少女も楽しく観戦することが出来るようになっていた。

少年はバレンタイン当日には机にのりきらないほどのプレゼント(主にバレンタインカード)があり、友人や先輩方に冷やかされながらもにこやかに対応していた。
何度か女生徒に呼び出されている姿を見た少女は呑気に皆肉食系だなぁーなんて思っていたのだった。
少女も何通か名前のないカードを受け取ったが悲しいかな日本人ゆえの警戒心なのか嬉しい、という気持ちより正体不明の人物に見られていて手紙を送られるという恐怖感の方が強かった。
それでもカード自体に罪はないので綺麗な絵がデザインされたカードが少年の杖1振りで黒い炭と化した時はそれなりに悲しかった。
しかし少女が言い寄られているのはそこらの男子生徒ではなく友人のアンバーであった。

「ヒカル、課題手伝ってくださいな!」

『また〜?』

「アンバーもいい加減に慣れなよ。ヒカルも、甘やかしちゃダメよ」

「だって…だって……!!」

アンバーの目の前には芋虫の死骸がコロリと転がっている。
手に持つナイフはまるで人を殺す前のような形で芋虫に突きつけられており手が震えている。
アンバーだけをみると決して魔法薬の課題には到底見えないがれっきとした魔法薬の〝居残り〟課題である。

「もう3年目なのに慣れないわねー」

「仕方がないじゃないの!だって…その…酷く不快何ですもの!」

『分かった、分かった。もう、どうやって進級してきたか不思議だよ』

「今まではたまたま芋虫と蜘蛛が無かったのよ」

『でも今年はありそうだけど…』

そう、喋りながらも少女は均等に乾燥芋虫を輪切りにして鍋に入れると鍋をゆっくりと掻き回す。
途中、芋虫の姿が見えなくなったところでアンバーに鍋を交代する。

「ヒカルありがとうございます!全く、どこかの誰かとは違いますわね!」

完成した薬を瓶につめてアンバーは笑顔で言い放った。

「悪かったわね、どこかの誰かさんは魔法薬は好きじゃないそうよ」

『まぁまぁ、さすがに試験は手伝えないからこれからは慣れてもらうしかなぁ…』

イースター休暇が開けるともうすぐ試験だ。
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp