第14章 【縁下兄妹、東京へ行く】後編
帰りの事である。
「美沙ちゃん寝ちゃったわね。」
清水が呟く。
「疲れたんでしょうね。音駒や梟谷の皆さんとすごくいっぱい喋ってましたから。」
谷地が頷き通路の向こうから月島がてゆーかと面倒くさそうに呟く。
「こっちが疲れた。案の定大騒ぎになったし。」
「梟谷の人達思った以上に食いついてたよね、ツッキー。」
「ぐぬぬ、何か美沙がまた凄くなった気がする。」
「最近ままコは本気で人見知りなのかがわかんねー。」
1年陣は半数が何か違う方向で美沙に注目している。
「疲れた。」
一方で力が呟いている。
「そりゃこっちの台詞な。」
成田が容赦無く返す。
「予想はしてたけどシスコンパワー凄過ぎだっつの。」
「俺と成田2人で引きずられるんだもんなー。」
「そこまで言うか。」
「生憎だが縁下、」
田中も口を挟む。
「今回は俺も恐れ入ったぜ。まさか木兎さんに縁下妹への禁句をお教えする羽目になるたぁ。」
「おう、力の目ヤバかったもんなっ。」
「西谷にまで言われるレベル。」
「木下うるさい。」
3年はそんな2年の様子を見守っている。
「縁下が三方から突っ込まれてら。」
「兄貴はいつも大変だなあ。」
「うーん、それより縁下が田中にまで突っ込まれるのはどうなんだ。」
縁下美沙は降りるまでずっと目を覚まさなかった。
結局力も途中で眠ってしまっていて兄妹そろって寝ぼけ眼で帰宅した訳だが美沙は義兄の部屋に引きずり込まれしばらくの間抱き締められたまま離してもらえなかったという。