第14章 【縁下兄妹、東京へ行く】後編
そんなカオスを経てやがて烏野勢は宮城に帰る事となる。口々に握手や別れの挨拶を交わす面々、号泣しているやかましい奴らもいるがそれはまあいつもの事である。
「またね、縁下君。」
「赤葦君も。何かうちの美沙が騒がせてばっかで申し訳ない気がするけど。」
「気にしないで。皆楽しんだみたいだから。木兎さんがハンネ覚えるくらいままコさん気にいるとは思わなかったけど。」
「黒尾さんが地味リボンて連呼してくるよりはいいけどな。」
「黒尾さんも無駄に意地張ってる感あるな。それより、元気でね。」
「うん。」
力と赤葦は握手をする。やがて皆が今度こそ別れを告げ、烏野一行が帰路につこうとした時だった。
「じゃあなーままコーっ。」
後ろから木兎がでっかい声で言った。
「動画頑張れよーっ。」
まさかの事に美沙は驚き烏野一行も美沙を一斉に見る。監督とコーチにまで見られたのは相当の事態だがそれは置いておく事にした。
「美沙さんっ、お兄さんもお気をつけてっ。」
「今度はうちに遊びに来いよー。」
「また猫の写真送るからな、腹減るけどっ。」
「そこの狂信者共とりあえず泣くな飛び上がるなっ、ウゼエっ。」
「美沙ちゃんまたねー。」
自分に向けた別れの言葉、
「皆さん、ホンマおおきに。」
美沙は微笑んで別れを告げた。