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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第12章 【縁下兄妹、東京へ行く】前編


「あの地味リボンは6番の妹ってだけで部員じゃねーだろがっ、それと犬岡っ何どさくさに紛れて混じってやがるっ。」
「美沙は友達ッスからっ。」
「だからどーしたっ。」
「いーじゃないスかクロさん、美沙はほとんど烏野の身内っしょー。前練習試合に行った時縁下さんが連れてきてべったりでしたもん。烏野の方もいつもの事って感じだったし。」
「美沙さんは天使ッスっ。」
「ウルセエ黙れ意味不明だわ特に山本っ。」
「何で俺っ。」
「その、無理もないかと。」

1年リベロの芝山優生が呟く。なかなか頑張っているが逆に言えば彼まで突っ込まざるを得ない状況ということだ。それでも五月蝿い3人は止まらない。

「美沙にも会いたいですっ、つかリアルで言いたい事がたんまりありますっ。」
「言いたい事は特にないけど俺も会いたいっ。」
「美沙さんの優しさが恋しいっすっ。」
「お前らはアイドルのファンかなんかかっ、それと山本は一等きめぇっ。」

しかしどれだけ怒鳴ろうが3人は止まらず黒尾は頭を抱える。黒尾に対してこいつらがここまで頑強なのは珍しいかもしれない。

「いいんじゃないの、烏野側に問題がないんなら。」

とうとう孤爪が口を挟んだ。たちまちのうちに灰羽、犬岡、山本は孤爪を見てすぐに期待に満ちた目を黒尾に向けた。

「よけーな事を。」

苦々しい顔をする黒尾にしかし孤爪はさらりと言う。

「美沙さん1人に来てもらって済むならそれが早い。3人にずっとわーわーされてちゃ俺がもたない。」

おそらく縁下美沙本人が聞いたらやかましく抗議しそうな事を涼しい顔で言ってのける孤爪、とうとう黒尾はチッと舌打ちをした。

「仕方ねーな、あのブラコンの地味リボンも含むっつっとくわ。」

灰羽、犬岡、山本はわっと喜び黒尾と孤爪にあざーっすと口々に言って無駄なレベルで盛り上がる。ここで夜久がおい待てと口を開いた。

「烏野側はいいとしてだな、あの子本人か兄貴が嫌だっつったらどーにもなんねーんじゃね。」
「そうだな、特に兄貴の方が嫌がるかもしれない。妹さんを相当可愛がってるしな。」

横で海も頷くと黒尾はここでニィと笑った。所謂(いわゆる)悪い顔である。
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