第12章 【縁下兄妹、東京へ行く】前編
「赤葦君は俺を何だと思ってるの。」
「妹好きすぎダメ男(お)君の半歩手前。」
「一歩にも満たないのか。」
「冗談は置いといて。」
「どう聞いても本気にしか聞こえないんだけど。」
「真面目な話、俺がそっち行った時は美沙さんにもお世話になったからね。兄妹で来るんなら俺としても嬉しいな。」
「赤葦君がそう言ってくれるなら助かるよ。それにそうだな、あいつろくに外に出ないからいい機会かも。」
「それは何より。」
「最近ちょっとは外にも興味持つようになったみたいでさ。」
「いいんじゃない。いつもいつも家でネットアイドルばっかやってらんないだろ。」
「赤葦君、うちの美沙は別にネットアイドルじゃないから。」
「動画の再生数から行ったら確かに本人の言うとおりマイナーだと思うけど絶対コアなファンついてる。」
「おいおい。」
「ついでに君にもね、縁下君。」
「かんべんしてくれよ。」
夜は更けていく。