第66章 【烏と狐といろいろの話 その7】
「はい、それじゃあ侑君どうぞ。」
「よっしゃああっ。ってままコちゃんほんま化けとるやんっ、人に見せてもろた時より無茶苦茶可愛いっ。もういつも化粧しときって。」
「ようまあそないなこと本人前にして言わはったもんやね、お宅様。(よくもまあそんなことを本人の前でおっしゃいましたね、あなた様は)」
「美沙、敬語混ぜながらキレないで。」
外見について好き放題言われたため、半分笑って半分キレる義妹を力が抑える。
「あと、すぐお肌荒れるからいつもは無理。」
「もしかしてお前、基本化粧に興味ないのそれが原因。」
「地味に深刻な問題でしたね、縁下さんともあろう人が気づかないとは。」
「月島君、やめてあげて。」
一方で宮治がぶーぶー言っていた。
「ツムええなあ、俺もそれ欲しい。」
それを聞いた及川はフフーンと岩泉にぶん殴られるようなドヤ顔をしている。
当の岩泉は引き続き金田一に押さえ込まれていたのだけれど。
「もう着物のは侑君にもらったからねえ、治君にはあげれないなあ。」
「及川くんのケチ。」
「失礼なっ。治君にも交換する写真があったらあげれるけどね。」
「私の写真はトレカかっ。」
「似たような認識になってそうだな。」
今度は突っ込む美沙、静かに返す義兄の力を他所に治はクッソーと呟いた。
「しゃあないなあ。」
しばらく悩んだ様子を見せてから治はスマホを操作し始める。
「嫌な予感しかせん。」
「美沙、しっかりっ。」
「日向に言われてどうすんだ。」
「影山、よしなって。」
烏野の1年達にも好き放題言われるのもなんのその、治はカッと無駄に目を見開いた。