第62章 【烏と狐といろいろの話 その3】
そんなこんなで義兄妹と双子と双子の先輩というけったいな一行は、まず義兄妹が住む周辺の散策へと繰り出した。
「のどかなとこやな。」
「ちゅうか、ドいな」
「侑さん、なんか言わはった。」
「なんもないよ、ままコちゃん。」
「そういやままコちゃん、今日はブレスレットもしてるんや。」
「お、サムが目ざとい。」
「これ一番のお気に入りで。」
「ままコさんにはちょい大きないか。」
「えと、その」
「あ、それ俺が最初にあげたやつなんですが、サイズ確認せずに買ったら思った以上に手首が細くて。」
「結局まま兄くんのプレゼントなんや。」
「ラブラブやん。」
「ちょお、侑さん。」
「思い入れはようわかったけど、落とさんようにな。」
「はい。」
北に言われて素直に返事をする美沙であったが
「ままコちゃーん」
少々不満げに侑が言う。
「なんで北さんの言うことはすぐ聞くん。」
「今の別に逆らう必要ないし、それに兄さんとよう似た匂いのする人はその」
「君ら二人は美沙に言うこと聞いてもらう説得力を持つとこからじゃないかな。」
「まま兄くん、ひどっ。」
「そやな、ツムと一緒くたとか不本意すぎる。」
「おい、サム。」
「あ、あそこの公園、私よう行くとこです。」
「今は大丈夫っぽいな。」
「兄さん、及川さん警戒し過ぎちゃうの。」
「あの人は最初のままコ信者にして、どっから湧いてくるかわかんないから。」
「ホンマ、自分らと青城の及川はどういう状況やねん。」
「今日会(お)うたらおもろ、あ、おもしろそう。」
「治さん、フラグやめたってください。」
会話の方向がとっ散らかっているものの、散策の時間は穏やかに過ぎていった。