第61章 【烏と狐といろいろの話 その2】
「で、」
更に北は言う。
「今話聞いた限り、美沙さんもその点一緒やな。」
「はい。」
「依存か。」
「それ言われるの、北さんで何人目だったかなって感じです。」
「誰にか知らんけど、やっぱり言われてるんやないか。」
「少なくとも白鳥沢の牛島さんには一発で看破されました。」
「あの牛島にまで言われるて、自分らどないなってんねん。」
「牛島さんと美沙が遭遇した結果、向こうが興味を持たれたようで。そこからバレました。」
「意外やな。よっぽど美沙さんをけったいや思たんやろな」
「奇妙な存在扱いです、多分今も。」
「せやろな。」
言って北はここで茶を一口。
「縁起でもない話やけど。」
「どうぞ、お構いなく。」
「自分ら、万一相手から死ねって言われたらどないするん。」
力は自分も茶を一口すすってから、過去にも他から問われたそれに迷いもなく言った。
「まず俺がそれを美沙にいうのはあり得ません。」
「言うたな。」
「それこそ万一あったとして、美沙には即断るって抵抗されると思います。」
「ほう、意外やな。てっきりお兄ちゃんのためならってなるかと思たら。」
「確かに俺らは依存し合ってて、美沙も俺のためなら何でもみたいな感じになってくれてますけど。」
「やっぱり大分来とるな。」
「死にたくないからってうちに来ることを選んだ子なので。生き死にに関しては譲るつもりがないらしいです。」
「可愛らしい雰囲気の割にえらい話やな。」
「だから、俺は」
無意識のうちに力の視線は卓に置いた湯呑にまで下がっていた。