第11章 【鉄壁3年とエンノシタイモウト】
「縁下に関西弁を使わせるとは本当に仲良いなぁ。」
「笑い事ちゃいますよ澤村先輩、やっぱりこないなった。」
「いいじゃないか、せっかく来たんだろ。」
「それはまぁはい。せやけど澤村先輩から何か兄さんと似た圧を感じる件。」
「何か言ったかな。」
「いえなんも。」
美沙が呟いているうちに青城と伊達工の試合が始まった。
義兄の力含む烏野一同が固唾を呑んで試合を見守り、美沙は追いつかない中でも目を離さなかった。正直及川が恐ろしいと思う。ハンドルネームままコのファンだとか何とかふざけてはセクハラに及び岩泉にどつかれている約一名とはあまりに違う。影山が怖いと言うのも薄っすらとだがわかった。あっという間に青城が1セット先取したところでバタバタと騒がしくなる。
「どうだっ、勝ってるかっ。」
「押すなっ。」
制服を着た割とでかい野郎共3人、そのうち押すなと言った声に聞き覚えがある美沙はおやと思う。こそっと見れば前に会ったことのある伊達工の茂庭要、あと2人は鎌先靖志と笹谷武仁なのだが美沙は知らない。
「今2セット目か、1セット目はどっちが取ったんだ。」
呟く笹谷に
「あのー」
澤村が口を開いた。
「1セット目は青城が取ったっぽいです。」
「あ、烏野。」
「どうも。」
所謂ガンつけをする鎌先を笹谷が抑えつつ烏野勢と伊達工勢が挨拶をしあっている時だ。
「あ。」
「あ、う。」
ふと見回していた茂庭と美沙の目が合った。しばしの沈黙、美沙も茂庭も言葉を失い鎌先、笹谷、烏野の連中も何だどうしたという空気になった所でいち早く反応したのは義兄の力だった。