第60章 【烏と狐といろいろの話 その1】
「ままコちゃんに会いにいく。」
瞬間、その場にいた男子バレーボール部の連中は多くが固まった、が
「待てや。」
約1名固まっていないのはもちろん治である。
「何抜け駆けするつもりやねん、俺も行く。」
「えー、来(こ)んでええって。」
「お前1人だけやったらままコちゃんいじめるのがオチやろ、かわいそ過ぎるわ。」
「人聞きの悪いこと言うなや、いじめへんわっ。」
「いやあの子からしたらどっちも一緒やろ。」
同じく2年の銀島結に痛いところを突かれて双子はぐるんっと同時に向き直る。
「一緒ちゃうっ。」
同時に叫んで同時にお互いを指さしているようでは全く説得力がなかった。
「修学旅行の時に散々あの子弄って烏野のみんなも巻き込んどいてよう言うわ。」
呟く銀島の横では小作裕渡がうんうんと頷いている。
しかし
「なんでもええねんっ。」
あろうことか双子はまた同時に開き直った。