第59章 【王者の恩返し】 その6
一方で及川が仲間に引き取られるまでの一連の流れを見つめていた烏野、白鳥沢両陣営はやれやれといった雰囲気と面白がっている雰囲気とが混在している。
「だから僕はままコさん絡みが嫌なんだよね。」
「まあまあ、ツッキー。自然現象みたいなもんだから。」
「山口、それフォローじゃなくね。」
「フォローしきれねえってことじゃねえのか。」
「翔陽と影山に言われるって、でん、いや、ままコってヤバいんじゃないのか。」
「あ、あの、はいっいいえっ。」
「仁花ちゃん、落ち着いて。」
「ちょ、も、俺、」
「天童、間違ってもここでバカ笑いすんじゃねえぞ。」
「瀬見さん、あれだけ及川さんが騒いでるんでどのみち一緒かと。」
「賢二郎、そこまで言っていいの。わからなくもないけど。」
「わかるのかよ。」
山形が呆れたように川西に突っ込み、
「なんというか」
大平が苦笑して澤村のほうを見る。
「つくづく大変だな。」
「最早慣れた感もあるよ。」
澤村は遠い目をしており、菅原がシシシと笑っている。
「すっかり忘れてたけど及川は一等最初に美沙ちゃん目当てでうちに凸って来たもんなあ。」
「筋金入りなのか。」
「あの時はビビった。俺心臓いくつあっても足りないくらいだったよ。」
「旭さんのそれはデフォっしょ。」
「ノヤッさん、そこは自重っ。」
「成田、なんかあそこで日向と五色君が負けねえって燃え始めてるけど。」
「多分こんだけ影響及ぼしてる美沙さんに対抗意識燃やしてる。とんだ方向音痴だけど。」
「美沙さんってインフルエンサーだったのか。」
「マイクロもマイクロだけどな。」
いつものことだがもう無茶苦茶であった。