第52章 【Sorry for Dali その5】
「まぁまず間違いなく、」
ここで主将に笑い返しながら成田が言った。
「この期に及んで美沙さんの心配ですね。それと茂庭さんへのアフターフォローを考えてるってとこかと。」
「一仁、流石だなっ。」
「もはやテンプレだろ。」
「俺はもう縁下妹は兄貴限定の悪女説を唱えたくなってくる。」
「田中さん、それだったらままコさんはわりとマジな悪女ですよ。」
「月島よ、さっきまで沈黙してたのに。ここぞとばかりに言いおったな。」
「毎度他校を引き寄せた挙げ句コアなファンを作るんですから。」
それは事実なので田中は後輩である月島に何も言い返せない。
しかし、
「それには異論ないけどさ、月島。」
ここで力がとうとう口を開く。
しかし、向き直る彼が微笑んでいた為に月島以外の1年と2年仲間達は本能的に震え上がった。
「でも、それだとうちの美沙が意図的にやってるみたいなんだけど。」
「意図的じゃないのが逆に問題かと。こっちはそれに伴うゴタゴタに何度も巻き込まれてますし。」
「それは本当にごめんよ。というか、俺もあの引き寄せ体質をうまく活用する方法を考えないと。」
「とっととライブ配信で活用してみては。ある種アイドルのようなものデショ。」
「顔出しはさせたくないんだよ。ラジオ的な配信って今は流行るのかい。」
「僕に聞かれましても。ただ検討の価値はありそうですが。」
「今のライブ配信を拡張する方向にしよう。」
「ままコさん単体でトークが不安ならご自身も共演すれば済むでしょうし。」
「そうだな。垢BAN食らうような発言を止める奴がいないと。」
「下品な事を言わせようと煽る視聴者への対策が先では。ままコさん単体で下ネタの心配はありませんよ。」
「信用してくれてるんだな。」
「標準語での口が悪い割に下ネタは言わないことと、どっかの変人コンビよりは日本語が通じるとこだけは。」
「そういう事にしておくよ。」
話が逸れまくっている上に、何かの企画会議みたいになっている。
バレー部2年の首領と1年の頭脳派がそんな話をしている様は正直3年ですら、妹(美沙さん)に何させる気だよちょっと怖い、と思ったという。