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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第45章 【王者の命】その5


一方の白鳥沢、こちらも五色は少ししんどそうにしていたし全体的に消耗していない訳ではないだろう。
それでも牛島は汗をかきつつも特に何か変わった様子を見せる事がない。
義兄の力よりもずっとずっとごついあの体つきは伊達や酔狂ではないということが美沙でもわかる。
思わずそちらもじっと見ていたら鷲匠の目が離れた隙を見た天童がこっそり手を振ってきて瀬見に肘打ちを食らっていた。
美沙は一応笑って振り返し、鷲匠に気づかれないよう高速で手を引っ込めて知らなかったふりをする。
兄さんが今の見てへんかったらええけど、と切に思った。見ていたらまた後で1人で白鳥沢に会ったら気をつけろだの何だのと言い出すかもしれない。
有りうるのが恐ろしい。

そんな事を思っているうちにまた試合が始まって、美沙は素早く撮影に戻った。


その後も、もう何セットかやったが烏野ははっきりいってボッコボコにやられた。
手も足も出ない、まではいかないけれどもちょっとつつけた程度といったところか。
残念ながら今回義兄の力はまったく出番がなかった。

「ありがとうございましたーっ。」

両校が挨拶をしたところで縁下美沙はカメラの録画を止める。

「大丈夫かな。」

斉藤に声をかけられた。

「念の為確認はしますがおそらく。」

美沙は正直に答えながらカメラからメモリーカードを抜き取る。烏野も白鳥沢もクールダウンに入っていた。
勿論美沙はそれには目もくれず、抜き取ったカードをノートパソコンに接続されたカードリーダーに差し込んだ。
メモリーカードが読み込まれ、美沙は中の映像データを一旦再生してざっくり確認を行う。
他所の学校、それも体育館という環境で林檎印最新モデルを触る烏野の"電脳娘"の姿はなかなかの浮きっぷりだった。

「すっげぇシュール。」

烏野側でふと菅原が呟いている。

「縁下、美沙ちゃんが面白いことになってんぞ。」

言われた力は振り返って義妹の方を見る。義妹は白鳥沢側が用意したパソコンの前に座って時折首をかしげながら、斉藤と話しながら、何やら操作をしていた。
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