第8章 【獅子の姉、萌える】
「にーちゃんの縁下さんって人が美沙のこと超可愛がってんだぜ。」
「せやから余計な事は言わんでええ言うてるやろーっ。」
「美沙さっきからうるさい。」
「誰のせーやあああっ。」
あらあらとアリサは思わずクスクス笑ってしまった。
「そっちの言葉の方が自然で素敵。」
「あ、う、その、どうもおおきに。」
「おおきにって。」
「関西弁でありがとうってこと。でも美沙、それ超古いんじゃなかったっけ。」
「超古い言うな、しゃあないやんばあちゃんからそんまま引き継いでもたんやもん。」
「伝統的なのね。」
「お姉さんは上手に言わはるなぁ。」
「美沙何だよ、その目。」
「はて。」
「ごまかしたっ。縁下さんに言ってやるっ。」
「兄さんはむしろリエたんが余計な事お姉さんに喋ったんを怒る思うで。」
「リエたん言うな。」
「うちの兄さんは怒ったらめっちゃ怖いし。」
「う。し、知ってる。」
関西弁の少女にやられる弟が面白いとアリサは思う。
「仲良しなのね。」
「うん。」
「まあ弟さんは誰とでも仲良う(なかよう)してくれるから。」
「おい美沙その言い方傷つくっ、俺はちゃんと友達って思ってるからなっ。」
「おおきに。」
縁下美沙はふと笑う。アリサはまたもキュピーンとなった。この子笑うと可愛い。どうしよう山本君とこの茜ちゃんは元気系で可愛いしこの子はこの子で恥ずかしがり系の可愛いだし迷う。一体何に迷うのかはこの際突っ込まない方が賢明だろう。
「さて、」
その縁下美沙は言った。
「とりあえずビデオ通話は良好みたいやね。操作は大丈夫。」
疑問形で言う美沙にアリサの弟はニィッと笑う。
「おう。美沙、サンキュな。」
「あまり細かいことはわからへんけどもし何かあったら出来る限りはするから。」
「さっすが美沙っ。スマホ大好きっ、パソコンオタクっ。」
「何か褒められてる気がせぇへんねんけど。」
「何でだよ、めっちゃ褒めてるじゃんっ。」
「まぁリエーフにとってはそうなんかな。」
「俺が何か言い方下手な人みたいに言うなっ。」
「ちゃうつもりやったんや。」
「ひでぇっ。」
「あらあら。」
軽快にやりとりする弟とその遠方の友の様子にアリサは微笑む。細かいことはわからないが弟はバレーを通じて何かと楽しそうだ。