第27章 【パニック at the 文化祭】後編 その3
「何か美沙さんキャラ崩壊してね。」
「その、あまりにも他校の襲来があったので美沙さんかなり疲れちゃってるみたいで。」
「気の毒以外の言葉が見つからねぇ。」
「月島君がわざと美沙さんに対応させた節もありまして。」
「月島、美沙さんに何か恨みでもあんのか。」
「まー月島は前から縁下妹苦手にしてっからなぁ。」
「今も美沙の事名前で呼ばねーしなっ。」
「だからお前がコスプレ接客するなんて嫌だったんだよ。ほらほらもう泣かない。」
「兄さぁん。」
そんな事をやっていると
「おーおーまたやってんぞ、どシスコンが。」
どこかで聞いた声が響いた。
「あ、黒尾さんや。」
だけではない、音駒御一行全員がいる。谷地、木下、成田がぎょっとして田中と西谷がおおとテンションを上げる。
そして一体どういう訳か福永が何やら楽しそうにくすくす笑っていた。
「好き過ぎドストエフスキー。」
それを聞きつけた美沙の中で何かの血が騒いだ。
「くるみ割り人形はチャイコフスキー。」
福永のネタにうっかり反応してしまう美沙、対して福永もムムと反応してボソリとこう言う。
「言語学者は」
「チョムスキー。」
「クリスタル・ガラスは」
「スワロフスキー。」
ボソリとネタを呟く福永に妙に響く声でテンポよく応える美沙、傍から見れば奇妙な掛け合いである。
義兄である縁下力及び烏野の2年生陣、音駒の連中は全員その様子を凝視しており山本がおいと孤爪に耳打ちをしていた。
「福永と美沙さんは何の話してんだ。」
「最初ので美沙さんがボケをかましたから福永が変な対抗心燃やしてなんとかスキーって名前とかブランド名が出てくるネタ振ってる。で、美沙さんは尽(ことごと)く応えてる。」
「流石美沙さんだぜっ。つか美沙さんとお話するならああいうのに対応する必要があるのか。」
「何で俺に聞くの。でもまぁ喜ぶかもね。」
山本がむぅと考えた所で福永と縁下美沙は丁度掛け合いのきりがつきそうである。
「ペトルーシュカは」
「ストラヴィンスキーって、もうええっ。」