第27章 【パニック at the 文化祭】後編 その3
「やっと当番終わったし私他行ってみる。」
「あ、私も一緒に行く。」
「やっちゃん他の子と一緒やのうてええん(一緒じゃなくていいの)。」
「全然、気にしないで。」
「おおきに。」
「ツッキー、俺らもまた他行こっか。」
月島は山口うるさいと呟き、あれだけ下着事件でわあわあ言っていた割には着替えずに谷地と出かけていく美沙の後ろ姿を阿呆じゃないのあいつといった様子で見ていた。
まぁ確かに着替えもせずに出たのはちょっと問題であった。
「どっちやろ。」
「何が。」
「さっきこっち見てた人。やっちゃんの事見てたんかなぁ。」
「え、えーとぉ」
呟く美沙に谷地が苦笑する。
「逆に美沙さんの事見てたかと。」
「何でっ。やっちゃんの方が可愛いのにっ。」
「あ、ありがとう。でもコスプレ喫茶に来た人もそうだったけど何気に美沙さんのこと見てるよ。」
「おかしな話やねぇ。」
全然おかしくないと思うと谷地がこっそり思っていた事は勿論美沙には伝わらない。
「ただまぁめんどがって(面倒臭がって)着替えんかったんは失敗やったかな。」
「言いにくいけどそうかも。」
一瞬すれ違っては美沙の方を振り向く男子連中を見て谷地が呟いた。
そうして美沙と谷地は2人して他のクラスや部活の出し物や屋台を見て回る。
「やっちゃん次どこ行こ。」
「わたあめいいかなぁ。」
「行こ行こ。」
「あ、美沙さんあそこたこ焼きやってるよ。」
「お、ええやん行こ。」
「でも食べられる。」
「お腹減って減ってしゃあないんよ。」
「ずっとカオスに対応してたもんね。」
「途中からは間違いなくモテ島君の陰謀や。」
「うーん、否定しづらいトコはあるかな。」
「お、ここ田中先輩とこのクラスや。」
「射的やってたんだ。」
「田中先輩はいてはらへんな。」
「美沙さんやってみるの。」
「ダメ元で。田中先輩が見たら絶対大笑いしはるから今のうち。」
「その服で射的ってちょっとシュールかも。」
とか何とかやりながら2人はあちこちを移動する。しばらく谷地と歩いているうちに美沙はおやと呟いた。
向こうの方で義兄の力が男子排球部の2年仲間と一緒に歩いているのを見つけたのである。